Beer

 競技の世界は、例えそれが底辺イベントだとしても、ひどくシビアなものだ。
勝てない時はとにかく勝てない。ひどい時にはダントツの最下位から抜け出せなくて涙をこらえる日が続く事もある。
表彰台に上がった時の祝福の声、上から他のドラバーを見下ろす快感。
そんな刺激的な光景から遠ざかって、手ぶらで帰ってビールを飲み干す。ツマミには缶のコンビーフ。

表彰台で受ける「おめでとう」の言葉も、友人からの「やったねえ」の言葉も無く。自分から自分へ、ただ一言「おつかれさん」

グイッ、とビールを飲み干す。まだまだ、走ろう。まだまだ、頑張ろう。

この道はどこへ続くんだろう?途切れている事もあるかもしれない。トンネルもあるだろう。
でも、走り続けたい。「この道ィはァ、いつか来たァ道ィ♪」と歌いながら、笑って振り返る日のために。
そして俺は残りのビールを一息で飲み干した。

「がんばろう!」

一つ戻る

HP TOP